去年の夏に公開された映画ですが、家族が目の手術をしたこともあって、今年になって観ました。
第二次世界大戦末期、母を亡くし、父と共に疎開したものの、新生活に馴染めない主人公の少年。ある日、彼は不思議な洋館を発見し…という物語。
同じ題名の小説がありますが、話も主要キャラクターも、別物でした。
そして、途中からは、かなりシュールな展開…。
違和感を感じながら、同時に魅入られもしました。
子どもの頃、周りの事をどういう風に見ていたかを思い出しました。
現実の世界と、本やアニメの世界の境界が曖昧でした。
亡くなった親戚のことを考えているうちにお伽話風になってしまったり、本を読んでいるうちに主人公が自分になってしまったりしていました。
そういう感覚を、年月を経た今の視点も加えて伝えようとすると、この映画のようになるのかも、と思いました。
そういえば、監督の前作「風立ちぬ」も、同名小説とは大きく異なる内容でした。
あの映画の主人公は、もしかしたら、“小説の主人公+零戦の設計者+監督+監督のお父さん”だったのかもしれない…と、今になって思いました。
今あるものを肯定する(恵まれている自分と父も含めて)というメッセージを感じました。
監督が今、80代。
重い記憶を振り返って人に伝えるには、長い時間がかかるものだなと思いました。
私の両親は監督より少し年上ですが、戦争の話は封印していました。
重く、総括するのも難しいのだろうと思います。
力作でした。